戦時中に軍からの要請で、テーブルの上の地図を見るための照明を作ったのが元で、その後各社がそれぞれ民間用に生産したランタンです。下方方向への照射に特化していて、キャンプでもとても役に立つモデルです。

結構使えるアイテムなのに、知らない人が多いのでは無いでしょうか?
シアーズ社・AGM社

先ずは簡単に構造説明をしましょう。




基本構造は普通のランタンと余り変わりません。
燃焼部が下にあるため、熱を逃がす排気口があるぐらいです。

タンクとシェードの間にあるスリットは、燃焼の熱が伝わらないように
するためのスペースと、エアインテークの役割を兼ねています。

排気口は上部のスリットからで、その直ぐ下にある円筒の物は
タンクと排気口の間にあって、熱を遮断しています。














下から覗くとこんな感じ。

センターに見えるのがバーナーです。
網では無く穴が空くタイプになっています。
その回りの白い板がリフレクターで、ベンチレーターのように琺瑯が掛かっています。
このリフレクターの真ん中の穴と排気口が筒で繋がっており、熱気が逃げる構造です。



ホヤは特殊な形をしていてセンターに穴が空いており、
この穴から点火します。

また上昇気流が起こることにより、
内部に熱がこもらないようになっています。






それぞれのパーツはこんな感じに付いています。
配置は各社ともほぼ同じです。



それではその各社の逆さランタンをご紹介致します。

こちらは一番流通している、AGM社製のランタンです。
AGM
赤/黒のタイプは、よく見かけますが左端のピンクっぽい物は大変珍しいものです。
色が違うだけで作りは一緒です。
ピンクが Model IL-12 ・ 赤/黒が IL-11B x 2




次はシアーズ社のランタン。
デカールには J.c Higgins とありますが、これは銃器メーカーの名前です。

左右でデカールの大きさが違いますが同じ物。
Model 7402
このシアーズ社だけ他のメーカーと少しだけ部品が違うところがあります。


例えば・・
AGM  シアーズ
通常はビス止めなのに対して、右のシアーズはナットで止まっています。
AGM社にも IL-1 モデルのみナットで止まっています。


加圧ポンプも違います。

シアーズ社の方にはノブに穴の空いたタイプを使っています。
これもAGM社の IL-1 モデルには穴の空いたポンプノブが付いています。
しかし、いずれもコールマンランタンで良くあるポンプとは構造が全く違います。


最後に細かいところですが、タンク下のスリット部品。

他のメーカーはビスを2本外せばスリットが取り外せますが、
シアーズは切り込みが無いため、燃料バルブを外さなければバラせません。

その後、AGMのモデルIL-1を手に入れたのでアップ致します。

結果から言いますと、このモデルのみタンク下のスリットもシアーズ社と作りが一緒でした…
ただこのモデルでしか確認出来無かったパーツを発見。

ホヤを押さえるリングに、ガタを押さえるための爪が3箇所付いていました。


シアーズとAGMはこの辺りまでにして、最後はサーモス社です。
サーモス
デカールに違いはありますが同じタイプです。いずれも Model No.8319。
その他にも、No.8321を入手しましたが別ページでご紹介しますね。


コールマン製も有るようですが、激レアらしく古いコレクターも見る機会が全く無いようです。
他のメーカでもだんだん入手が難しくなってきました。

通常のランタンとは異なる灯り方をするこのモデルですが、それほど高額ではないので
見つけたらゲットしたいアイテムです。キャンプライフがきっと広がると思います。