ぱっと見は普通の228シリーズですが
よく見ると、燃料バルブの取り付けられ方が変。
実は228シリーズのベースとなったモデルでL228です。
傘の小さいL220も同形状であります。
手元に届いたときには少し遣れていたので、
メンテナンスをしがてらこのモデルをご紹介致します。
可動部分の固着は無く、まあまあの状態でした。
さっそくバラして部品のチェックと分解清掃。
これはタンク内に入っているフューエルチューブです。
現行型は真っ直ぐですが、これはタンクの底に沿わすように出来ています。
矢印が下側で、シルバーの細かいメッシュカバーが着いています。
このカバーを外すと、中にはジェネレーターの先に着いているような
小さな穴の空いた部品が組まれていました。
穴はふさがっていたのでクリーニングして開通~。
先をバラしてみるとこんな感じです。
一番右側は細かい網のカバーになっています。
左のパイプは一見ただの筒に見えますが、中はエアーと燃料の通る2重構造。
こちらは後期型です。
見ての通り先が変わりました。
またパイプが2本構造に変更されました。
製造の簡素化が成されたようです。
市場で見かけるこのランタンには、
大抵写真左側のR55ジェネレーターが付いています。
外して確認すると、レバーを上下してもディップクリーナーの針は
出たままで動いていませんでした。
そう言えばこのランタンには、
根元が炭化していないマントルが付いていました。
恐らく点火を試みて諦めてのでしょうね。
2箇所で燃料が分断していたので、まず点火することはできません。
ジェネレーター交換するのなら、せっかくなのでT88に変更。
T88ジェネレーターを付けるには、燃料バルブの先に
写真のような穴が空いていないと装着する事が出来ません。
ディップクリーナを取り付けるねじ穴は前期型のみで、
後期型には穴は無く、ジェネレーターはQ77を使用します。
T88自体がとても希少ですが、新品を入手する事が出来ました。
せっかくなのでオリジナルに戻してあげましょう。
前期型と後期型では、燃料バルブの形状が違っています。
これが取り敢えず、見分ける材料の一つとなります。
前期型 後期型
前期型は燃料バルブが細かいギザギザでグラファイト製。
後期型はお馴染み、12個の突起のあるプラスチック製です。
さて、見分け方を取り敢えずと言ったのには訳があります。
実はこの燃料バルブはいずれも後期型の形をしています。
希なケースだと思いますが、この様な発見を出来ることがコールマンの楽しみでもあります。
さてメンテナンスに戻ります。
長いディップクリーナーを先ほどの穴にねじ込みます。
大変細いので曲げないように注意しながら取り付けます。
燃料バルブホイールに、エンボスで CLOSE≫≫ とありますが、
このモデルにはホイールの裏にも同じエンボス文字があります。
先ほどの細いクリーナーをブロックに通し、
そのあとにジェネレーターカバーを被せて固定します。
ディップクリーナーは燃料バルブに固定されていますので、
バルブを開け閉めすることによって、クリーニングをするように出来ています。
クリーニングの手間は掛からないのですが、構造上かコストの問題なのか分かりませんが、
この後、このシステムは消えていきます。
バルブをフレームに固定します。
上の写真でブロックの一部が盛り上がっていますが、
その部分をフレームの穴にネジで押しつけます。パッキンやシールなどは無し。
矢印が燃料の通る経路。2##系などは一体になっていますよね。
横から見るとこんな感じにジェネレーターが斜め。
かなり無理のある取り付け方ですが、ちゃんとした理由が有ります。
燃料バルブの向きをこの角度にする事によって
燃料の細かい調整が出来るようになったんです。
それまではバルブを開くとバーナーから燃料がボトボト・・
点火時には気を付けないと火だるまでしたからね。
この位置からでもジェネレーターのプレヒートをしやすいように
マントルの直ぐ脇を通したかったのでしょうか。
この変な形は、苦心の末だったのかも知れませんね。
ここでちょこっと220Dとの違いをご紹介。
ベイルの取り付け方がちょっと違います。
どっちの方が頑丈なのでしょうね。
タンクに圧を掛け、燃料漏れのチェック。
問題が無いのでマントルを着けて下焼きを始めます。
手に入れた時は、この状態で終わった様でした。
ゆっくりと燃料バルブを開きます。
ポコッという音の後に、コオーッと、無事に点火。
始めは息継ぎをしていましたが、ジェネレーターが暖まると安定し
その後も数十分間のテスト燃焼は問題なく灯ってくれました。
元々オリジナルのマイカグローブが付いていました。
ガラスのホヤと違い、使い込まれたマイカグローブは
ホヤの光を柔らかくし、照らされた空間を癒やしてくれます。
スラントが幾つか揃ったので並べて見ました。
左から、1928年3月・1928年8月・1929年5月・1929年8月製造
そして、L220・220・L228・220 となっています。
年数順に並べましたが、Lが付いたり付かなかったりとマチマチ。
試行錯誤の苦労がうかがえます。